ペテロの葬列【宮部みゆき】

ネタバレあり】
【あらすじ】
丁寧な物腰の老人がバスジャック事件を起こした。主人公はその場に居合わせたが、すぐに事件は解決し、開放された。主人公は、その老人が誰でなぜ事件を起こしたのかという謎に迫った。すると、日本社会や人間の闇がにじみ出るように浮き上がってきた。

【印象に残ったシーン】
最後に菜穂美が浮気をした場面。作中の中で、一貫して夫の杉村を献身的に支える人物として描写されていた。彼女は、自分の足で自分の人生を歩みたいという理由で浮気をした。それは、防ぐことができたのか。また、防ぐことが幸せだったのか。


【印象に残った人物】
人の心を掌握する技術を身につけた老人


【感想】
人はちょっとしたきっかけで、人生を大きく変える決断をすることがある。そのきっかけを、人生の分岐点として気づくことができるのか、また、そのときに適切な判断を下せるのか。
善だと誤認している行為ほど、たちが悪くて恐ろしいものはない。また、自分がそういった行動をとり、あとになってそれが悪行だと気づいたら、どう行動するだろうか。
社会に散在する悪の萌芽がどのように芽生え始めるのか、またそれをどのように育むのか。


通し番号:1
タイトル:ペテロの葬列
著者:宮部みゆき
出版社:文集文庫
判型:文庫
開始日:2016/05/02
読了日:2016/05/04
購入理由:宮部みゆきの新作を店頭でみつけ、久しぶりに読んでみたくなった。