やくざと憲法
ネタバレあり
【あらすじ】
実在する暴力団に密着取材したドキュメンタリー。顔にモザイクを掛けず、野球賭博や薬の売買などの違法行為らしき行動も映されていた。おそらく、DVD化は難しいだろう。
【印象に残ったシーン】
20歳くらいの若者が住み込みで、掃除、洗濯、料理などをしていた。その青年の暴力団員になった理由に思いを巡らした。その若者に対するインタビューでは、社会に阻害された人の生き方について熱く語っていた。実際にその青年の原体験にどのようなものがあり、どうしてそこから、暴力団という選択肢を選んだのかについて知りたかった。取材の中でも、兄貴分にしごかれている様子があったが、そういった過酷な中でも、魅力的な要素とはなんだろうか。
【印象に残った人物】
顧問弁護士。顧問弁護士になってくれないかと打診されれたときに、興味心には勝てずに、多くのものを捨てて顧問になった。その過程がきになった。
【感想】
通常は関わることがないため、怖いもの見たさで、視聴した。全体の構成として、こちらの先入観でデフォルメすることなく、彼らの普段の生活をそのままに放映していた。彼らのことは、ニュースぐらいでしか知ることがなかったが、そんな彼らの日常感を少しだけではあるが、見ることができたのが良かった。
通し番号:2
タイトル:やくざと憲法
監督:東海テレビ放送
場所:渋谷
日付:2016/05/02
視聴理由:何かの広告を見て
太陽【入江悠】
【ネタバレあり】
【あらすじ】
サイタマノラッパーで脚光を浴びた入江悠監督の最新作。
ウイルスが蔓延し、人類は、暗闇でしか暮らせない進化した新人と、太陽のもとで暮らす貧しい旧人の2つに分断された。
この描写が、現代社会のあらゆる分離を象徴的に表しているように思えた。貧富の格差。共産主義と資本主義などの思想の違い。ある宗教を信じる者、信じない者。
【印象に残ったシーン】
旧人として扱われていた少女が、旧人のまま生きる道を模索するが、最終的には新人として生きることになり、その前後の彼女の豹変ぶりに、心揺さぶられるものがあった。また、それを見た父親の狼狽する姿と、新人になっても娘を思う気持ちが見ていて辛かった。
親しかった人が、自分の理解の範疇を超えるところに行ってしまったときに、どう行動したら良いのだろうか。あの父親のように、娘の幸せをただ願うしかないのか。
【印象に残った人物】
鉄彦
【感想】
いままで、SF映画は避けてきたが、この映画は人間関係や葛藤を丁寧に描写していて、荒唐無稽さを感じることなく見ることができた。ただ、自動運転が可能になっている近未来なのに、一部の場面で、もう少しどうにかなったと思ってしまうことがあった。
通し番号:1
タイトル:太陽
監督:入江悠
場所:池袋
日付:2016/04/30
視聴理由:サイタマノラッパーの入江監督
ペテロの葬列【宮部みゆき】
【ネタバレあり】
【あらすじ】
丁寧な物腰の老人がバスジャック事件を起こした。主人公はその場に居合わせたが、すぐに事件は解決し、開放された。主人公は、その老人が誰でなぜ事件を起こしたのかという謎に迫った。すると、日本社会や人間の闇がにじみ出るように浮き上がってきた。
【印象に残ったシーン】
最後に菜穂美が浮気をした場面。作中の中で、一貫して夫の杉村を献身的に支える人物として描写されていた。彼女は、自分の足で自分の人生を歩みたいという理由で浮気をした。それは、防ぐことができたのか。また、防ぐことが幸せだったのか。
【印象に残った人物】
人の心を掌握する技術を身につけた老人
【感想】
人はちょっとしたきっかけで、人生を大きく変える決断をすることがある。そのきっかけを、人生の分岐点として気づくことができるのか、また、そのときに適切な判断を下せるのか。
善だと誤認している行為ほど、たちが悪くて恐ろしいものはない。また、自分がそういった行動をとり、あとになってそれが悪行だと気づいたら、どう行動するだろうか。
社会に散在する悪の萌芽がどのように芽生え始めるのか、またそれをどのように育むのか。
通し番号:1
タイトル:ペテロの葬列
著者:宮部みゆき
出版社:文集文庫
判型:文庫
開始日:2016/05/02
読了日:2016/05/04
購入理由:宮部みゆきの新作を店頭でみつけ、久しぶりに読んでみたくなった。